低血糖症


フェレットの低血糖症について

中年齢から高年齢のフェレットに、低血糖症が発生することが多く見られます。
近頃なんとなく元気がなかったり、歩行時に腰がふらつくような症状が目立つようになった場合には、老化現象と単純に判断せずにこの病気を疑ってみる必要があります。

1、原因  
血糖値はフェレットも犬や猫も、そして人間もほぼ共通していて、血液中の濃度は100mg/dl前後が正常な値であり、よほどのことがあっても、この値を保つように体はできています。

特に、食後などは吸収された栄養素のために血糖値が上昇しますが、そのようなときにはインシュリンというホルモンが膵臓から分泌されて血糖値を下げる作用を発揮し、血糖値を一定に安定させます。
血糖値が下がる現象はインシュリンの作用の一面に過ぎず、細胞内部に糖を取り入れて細胞がエネルギーとして利用できるようにするなどの重要な働きを担っています。また、食事を取らずに激しい運動をする等によって、エネルギーの消費が激しいときにも、今度は逆に血糖値を上昇させるメカニズムが働き、同じく血糖値を一定に安定させます。  
このようなメカニズムによって一定のレベルを保つようにできている血糖値ですが、フェレットに発生する低血糖症は、上記のインシュリンの分泌が異常に多くなることによって発生します。血糖値を低下させる作用のホルモンが過剰に分泌されるために低血糖症が発生するわけです。過剰に分泌される原因は、インシュリンを分泌する臓器である膵臓に腫瘍が発生し、その腫瘍から過剰なインシュリンが分泌されるために起こります。
この腫瘍のことをインスリノーマと呼びます。

2、症状  
症状は、低血糖に起因した症状となります。活動性の低下、腰のふらつき、よだれ、などが初期に見られます。  さらに、低体温を伴う発作的な虚脱の発生や、痙攣発作などの症状も発生する場合があります。

3、治療  
治療は、原則的に薬を用いた内科的な治療を行います。薬品としては血糖値を上昇させる作用のある副腎皮質ホルモン製剤であるプレドニゾロンを使用します。
この薬の血糖値を上昇させる作用と病気による血糖値の低下とを拮抗させて、可能な限り生活に支障のない血糖値を維持します。
過剰なホルモンを産生している腫瘍には手をつけないため、腫瘍の増大によって分泌されるホルモン量 が増加するとともに投薬量も増える可能性があります。  

腫瘍の外科的な摘出に関しては、低血糖症状を持つ動物に対する手術実施のリスクに加えて、多くの場合腫瘍の発生が膵臓内において多発性であり、肉眼で確認可能な腫瘍を摘出しても、肉眼的に確認困難な取り残された微小な腫瘍の影響によって低血糖症状が持続する可能性が高いため、手術の実施に関しては私自身は非常に慎重な立場をとっています。
場合によっては、低血糖症状はありながら肉眼的に確認可能な大きさの腫瘍が存在しない場合もあります。
しかしながら、たとえば副腎腫瘍と低血糖症状を併発しているような場合において、副腎腫瘍の手術時にインスリノーマが発見され、それも同時に摘出した場合に、手術後に低血糖症状が消失した症例をいくつも経験しており、このようなことも考え合わせると、インスリノーマに対する手術の適否に関しては十分に検討することが必要であると思います。

ただし、以上の見解は私個人の見解であって、実際に治療に当たる各獣医師によって異なるという点をどうかご理解ください。

フェレットの病気
1.低血糖症
2.副腎腫瘍