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フェレットの副腎腫瘍について
1、副腎について
副腎は、人を含めて動物たちは皆持っており、生命を維持する上で欠かすことのできない重要な臓器となっています。
しかしながら、その大きさはとても小さく、フェレットにおいては、正常では直径が3ミリから4ミリ程度であると言われております。
位置は左右の腎臓のやや頭側に、おのおの脂肪に埋もれるようにして存在します。
副腎の役割は、ホルモンを分泌することであり、このことが生命維持に重要な役割を果
たすことになっています。いわゆる副腎皮質ホルモンなどが主要なホルモンであり、このほか複数の重要なホルモンを分泌しています。それらの中に、通
常ではごく少量の分泌ではありますが、女性ホルモンと男性ホルモンが含まれており、フェレットの場合には、このことが副腎腫瘍が発生した場合の症状の出る理由となっています。
2、病気の発生するメカニズムについて
現在解っている事としては、脳から分泌される性腺刺激ホルモンが、副腎の性ホルモン分泌細胞を刺激することで、正常以上の多量
の性ホルモンが分泌され、その結果、メスの外陰部が腫れたり、発毛の抑制が起こったりします。
発毛の抑制は、結果として毛が薄くなる状態をもたらします。
また、副腎に対するこのような刺激が副腎の腫瘍化をもたらすと言われています。
このようにして副腎が腫瘍化すると、ホルモンはさらに多量に分泌されるようになり、多量
に分泌される性ホルモンの影響による症状はますます強くなります。
3、症状について
フェレットの副腎腫瘍の症状は、そのほとんどが腫瘍から分泌される性ホルモンによるものとなります。
メスの場合には、発毛の抑制による薄毛の進行、外陰部の腫脹、乳首の発赤、乳腺部の腫脹、外陰部からのオリモノの分泌、などが見られ、また、性的な活動が活発化したり、その結果
としてやや攻撃的になったり、マーキング行動と思われますが、排尿回数が増加したりする場合もあります。
また稀に、避妊手術時の子宮の切断部が性ホルモンの刺激によって大きく腫れ、内部に膿状の液体を貯留することもあります。この結果
として尿道が圧迫され排尿困難を呈する場合があります。
オスの場合には、発毛の抑制による薄毛の進行、乳首の発赤、乳腺部の腫脹、そして前立腺の腫脹による排尿困難や、前立腺の周囲に袋状の嚢胞が発達し、これらが尿道を圧迫することによる排尿困難、及び、嚢胞内部などに発生する膿状物によって尿道が閉塞することによる尿道閉塞の発生なども見られます。
また、性的な行動が活発化することによってマーキング行動に類似する排尿回数の増加や、攻撃性の増加なども見られます。
さらに、女性ホルモン(エストロジェン)の骨髄への長期間の作用によって、骨髄抑制が発生し、貧血となることもまれに見られます。
以上のようなホルモンによる諸症状以外には、腫瘍自体が局所において著しく増大した結果
として、副腎のすぐそばを走行する後大静脈や後大動脈などを圧迫することによる循環不全(心不全)が発生することも見られます。また、このような血管への圧迫作用によって血栓症が発生したとの報告も聞いています。
症状については、薄毛の進行が最も目に付きやすいものとなりますが、毛の薄くなる速さと腫瘍自体の大きくなる速さとは関係がないことに注意してください。
毛が急に薄くなったからといって腫瘍が急に大きくなったわけではありません。
フェレットたちは年に2回毛が生え変わりますが、そのときに古い毛は短期間で一斉に抜けることがほとんどです。このこととほぼ同じ現象と思ってよいと思います。
しかしながら、本来であれば古い毛が抜けると同時に新しい毛が生えてくるために、外見上は毛が薄くなりませんが、副腎腫瘍の症状の場合には、ホルモンによる発毛抑制によって新しい毛が生えてこなくなっているために、結果
として毛が薄くなるのです。
また、この病気発生のきっかけとされている脳からの性腺刺激ホルモンの分泌は、春から晩秋にかけて主に分泌されるサイクルであることにも注意が必要です。
春頃から外陰部が腫れ始めて毛も薄くなってきていた症状が、冬になって元に戻ってしまうことがよく見られます。
このような経緯の原因は、おそらく性腺刺激ホルモンの分泌のサイクルによるものであると考えられます。
この場合においては副腎腫瘍の存在が無くなったわけではないことに注意が必要です。
さらに、経験上、副腎腫瘍は大半が良性腫瘍である『副腎皮質腺腫』ですが、悪性腫瘍である『副腎皮質腺癌』となっている場合には、むしろ薄毛や外陰部の腫脹などのホルモンによる諸症状があまり見られない場合が多いように思われます。
悪性腫瘍となることでホルモンの分泌能力が減弱するのではないかと考えています。
以前に見られていた副腎腫瘍特有の諸症状がいつの間にか消失した場合には、決して安心せずに診察を受けていただいたほうがよいと思います。
4、治療について
第一選択の治療法は、副腎腫瘍の外科的な摘出です。
左右の副腎のうち、腫瘍化している側を摘出します。年齢が6歳後半や7歳など高齢である場合には、腫瘍の大きくなる速さを見極めながら、適否を判断します。
また、ほかに何らかの合併症を併発している場合にも、やはり腫瘍の大きくなる速さを見極め、慎重に判断します。
副腎腫瘍は一般的には腫瘍自体の大きくなる速さは極めて遅い場合が多く、ホルモン異常による諸症状以外は大きな問題を起こすことは稀であるため、将来にわたる生活の質の維持に最も適した方法を選択します。
その点において、年齢や合併症、また、腫瘍の大きさによって摘出不可能であった場合などにおいて、ホルモン異常による諸症状を緩和させることのできる薬物療法を選択する場合もあります。
『リュープリン』という薬剤がそれであり、これは脳からの性腺刺激ホルモンの分泌を抑制させる薬剤であり、その結果
として副腎腫瘍からの異常な量の性ホルモンの分泌が抑制されます。
これによりホルモン異常による諸症状は良好に緩和されますので、生活の質は著しく向上します。
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